オスグッドと成長痛は違う?お子さんの膝の痛みの見分け方と対処法

お子さんが膝の痛みを訴えるとき、それがオスグッド病なのか、それとも成長痛なのか、見分けがつかずに不安を感じていませんか?この二つの痛みはよく混同されますが、実は原因も症状も大きく異なります。この記事では、オスグッド病と成長痛それぞれの特徴から、決定的な見分け方、そしてご家庭でできる適切な対処法や予防策までを詳しく解説します。お子さんの痛みの正体を見極め、健やかな成長をサポートするためのヒントがここにあります。

目次

1. オスグッド病とは

オスグッド病は、正式にはオスグッド・シュラッター病と呼ばれ、主に成長期のお子さんの膝に痛みが生じる病気です。活発に運動をするお子さんによく見られ、スポーツ活動を中断せざるを得ないほどの痛みを伴うこともあります。骨が急激に成長する時期に、特定の部位に繰り返し負担がかかることで発症すると考えられています。

1.1 オスグッド病の主な症状と特徴

オスグッド病の症状は、主に膝の下に現れます。具体的な症状と特徴は次の通りです。

  • 膝のお皿の下の痛み:膝のお皿(膝蓋骨)のすぐ下にある、脛骨粗面(けいこつそめん)と呼ばれる骨の隆起部分に痛みが集中します。この部分は、太ももの前の筋肉が付着する場所です。
  • 運動時の痛み:特にジャンプ、ランニング、キック動作、階段の上り下りなど、膝を曲げ伸ばしする際に痛みが強くなることが特徴です。安静にしていると痛みが和らぐことが多いですが、進行すると安静時にも痛むことがあります。
  • 押した時の痛み:脛骨粗面を指で押すと強い痛みを感じます。
  • 腫れや突出:痛む部分が腫れたり、骨が出っ張ってきたりすることがあります。これは、筋肉の牽引によって骨が引っ張られ、炎症や骨の変形が生じるためです。
  • 活動制限:痛みが強くなると、スポーツ活動のパフォーマンスが低下したり、日常生活にも支障をきたしたりすることがあります。

1.2 オスグッド病の主な原因

オスグッド病の主な原因は、成長期の骨の成長と筋肉のバランスの不均衡、そして過度な運動負荷(オーバーユース)の組み合わせにあります。具体的には、以下のようなメカニズムで発生すると考えられています。

  • 骨と筋肉の成長のアンバランス:成長期のお子さんは、骨が急激に縦に伸びる一方で、筋肉や腱の成長が追いつかないことがあります。特に太ももの前にある大腿四頭筋(だいたいしとうきん)は、膝のお皿を介して脛骨粗面に付着しています。
  • 筋肉による牽引ストレス:ジャンプやダッシュ、キックなどの運動を繰り返し行うと、大腿四頭筋が強力に収縮し、その付着部である脛骨粗面を強く引っ張ります。成長期のお子さんの脛骨粗面は、まだ骨が完全に成熟しておらず、軟骨成分が多く含まれるデリケートな部分です。
  • 微細な損傷と炎症:繰り返される強い牽引力により、脛骨粗面に微細な損傷が生じたり、炎症が起きたりします。これが痛みの原因となり、慢性的な炎症が続くと、骨が隆起してくることもあります。

1.3 オスグッド病になりやすいお子さんの特徴

オスグッド病はすべてのお子さんに起こるわけではなく、特定の要因を持つお子さんにより多く見られます。以下に、オスグッド病になりやすいお子さんの特徴を挙げます。

  • 年齢と成長期:主に小学校高学年から中学生にかけての、身長が急激に伸びる成長期のお子さんに多く見られます。骨の成長が著しい時期であることが大きな要因です。
  • スポーツ活動:サッカー、バスケットボール、バレーボール、陸上競技など、ジャンプやランニング、キック動作が多いスポーツを日常的に行っているお子さん。これらのスポーツは膝への負担が大きいため、発症リスクが高まります。
  • 練習量と頻度:スポーツの練習量が過度であったり、急激に練習量が増えたりしたお子さん。十分な休息が取れていない場合もリスクが高まります。
  • 身体の柔軟性:太ももの前側の筋肉(大腿四頭筋)や、ハムストリングスなどの下肢の筋肉の柔軟性が低いお子さん。筋肉が硬いと、膝への牽引ストレスが増大しやすくなります。
  • 身体の使い方:運動時のフォームが適切でなく、膝に過度な負担がかかるような身体の使い方をしているお子さんも注意が必要です。

2. 成長痛とは

成長痛は、成長期のお子さんに多く見られる、特に夜間や休息時に現れる原因不明の足の痛みを指します。病気ではなく、お子さんの成長過程で一時的に生じるものと考えられています。一般的に、日中の活動には影響がなく、翌朝には痛みが治まっていることがほとんどです。

2.1 成長痛の主な症状と特徴

成長痛の症状は多岐にわたりますが、いくつかの特徴的なパターンが見られます。お子さんの痛みが成長痛によるものか見分けるための重要なポイントとなります。

  • 痛む場所: 膝の裏側、ふくらはぎ、太もも、足首など、主に下肢の関節ではない骨に近い部分に痛みを訴えることが多いです。特定の場所ではなく、広範囲にわたって痛むこともあります。
  • 痛むタイミング: 夕方から夜間、特にお子さんが寝ている時や、日中の活動を終えてリラックスしている安静時に痛みが現れることが大きな特徴です。日中は元気で、運動や遊びに支障がない場合がほとんどです。
  • 痛みの性質: 「うずくような痛み」「だるい痛み」「ズキズキする痛み」など、鈍い痛みを訴えることが多いです。痛みの強さは個人差があり、軽いものから、夜中に目を覚ますほどの強い痛みまで様々です。
  • 痛みの持続期間: 痛みが数分から数時間続くことがありますが、翌朝には痛みが消え、普段通りに活動できることがほとんどです。痛みが毎日続くわけではなく、数日おきや週に数回など、不定期に現れる傾向があります。
  • 見た目の変化の有無: 成長痛の場合、痛む場所に腫れや熱感、赤みなどの見た目の変化はほとんど見られません。押しても特定の場所が強く痛むことも少ないです。
  • 両足に現れることが多い: 片足だけでなく、両足に痛みを訴えることも珍しくありません。
  • 触れると痛みが和らぐ: 保護者の方が優しくさすったり、マッサージしたりすることで、痛みが和らぐことがあります。お子さんが安心感を得ることで、痛みの感じ方が変わることもあります。

2.2 成長痛の主な原因

成長痛の明確な原因は、実はまだ医学的に完全に解明されているわけではありません。しかし、いくつかの有力な説が提唱されています。

  • 骨と筋肉の成長のアンバランス: お子さんの骨が急速に成長する一方で、筋肉や腱の成長が追いつかず、引っ張られることで痛みが生じるという説が最も一般的です。特に、活発に体を動かすお子さんの場合、このアンバランスが顕著になることがあります。
  • 精神的な要因: 日中のストレスや不安、緊張などが、夜間に痛みを訴えるという形で現れることもあります。感受性が豊かなお子さんや、環境の変化に敏感なお子さんに見られることがあります。保護者の方に甘えたい、注目してほしいという気持ちが痛みの訴えにつながることもあります。
  • 疲労: 日中の活発な活動による身体的な疲労が、夜間の痛みを引き起こす一因となることも考えられます。特に、運動量が多いお子さんや、遊びに夢中になるお子さんの場合、身体が回復しようとする過程で痛みを感じやすくなることがあります。

2.3 成長痛になりやすいお子さんの特徴

成長痛はどのお子さんにも起こり得ますが、特に以下の特徴を持つお子さんに見られることが多いです。

  • 成長期のお子さん: 主に3歳から10歳くらいの成長が著しい時期のお子さんに多く見られます。骨の成長が活発な時期と重なるため、前述の骨と筋肉のアンバランスが生じやすいと考えられています。
  • 活発なお子さん: 日中、よく走り回ったり、スポーツをしたりと、体を動かす機会が多いお子さんは、身体への負担が蓄積しやすく、成長痛を訴える傾向があります。
  • 感受性が高いお子さん: 精神的な要因が関与する場合があるため、周囲の環境や出来事に敏感に反応するお子さん、我慢強いお子さんなども、成長痛を訴えることがあります。

3. オスグッドと成長痛の決定的な違いを見分けるポイント

お子さんの膝の痛みがオスグッド病なのか、それとも成長痛なのか、見分けることは保護者の方にとって非常に重要です。ここでは、それぞれの症状が持つ「決定的な違い」に焦点を当て、見分けるための具体的なポイントを詳しく解説します。

3.1 痛む場所の違い

痛む場所は、オスグッド病と成長痛を見分ける上で最も分かりやすいポイントの一つです。

症状痛む場所の特徴
オスグッド病膝のお皿のすぐ下にある、脛の骨の出っ張り(脛骨粗面)が痛みます。この部分を指で押すと強い痛みを感じ、ピンポイントで痛む場所を特定できるのが特徴です。
成長痛膝の関節だけでなく、太ももやふくらはぎなど、広範囲にわたって痛みを訴えることが多いです。痛む場所が日によって変わったり、どこが痛いのかお子さん自身も特定しにくい場合があります。関節そのものが痛むというよりは、筋肉や骨の成長に伴う鈍い痛みが特徴です。

3.2 痛むタイミングと状況の違い

痛みが現れるタイミングや、どのような状況で痛みを感じるのかも、両者を見分ける重要な手がかりとなります。

症状痛むタイミングと状況の特徴
オスグッド病主に運動中や運動後に痛みが悪化します。特に、ジャンプやダッシュ、ボールを蹴る動作、膝の曲げ伸ばしなど、膝に負担がかかる動きで痛みが強くなる傾向があります。運動を休むと痛みが和らぎますが、再開すると再び痛むことが多いです。
成長痛夕方から夜間にかけて、特に寝る前や寝ている間に痛みを訴えることが多いです。日中は元気で、学校生活や遊びには支障がないことがほとんどです。運動量とは直接的な関連性が低いことが多く、安静にしている時に痛みを感じやすいのが特徴です。

3.3 痛みの持続期間と性質の違い

痛みがどのくらいの期間続くのか、またどのような種類の痛みなのかも、判断のポイントになります。

症状痛みの持続期間と性質の特徴
オスグッド病数週間から数ヶ月、場合によっては数年にわたって痛みが続くことがあります。慢性的な痛みであり、運動を続ける限り痛みが引かない傾向があります。痛みの性質は、ズキズキとした痛みや、押すと鋭い痛みを感じることが多いです。
成長痛痛みが数分から数時間で自然に治まることがほとんどです。痛みが数日続くこともありますが、不定期に現れては消えることを繰り返します。痛みの強さも日によって異なり、鈍い痛みやうずくような痛みを訴えることが多いです。

3.4 見た目の変化の有無

痛む場所に何か目に見える変化があるかどうかも、見分けるための重要な手がかりです。

オスグッド病の場合、痛む場所である膝のお皿の下の脛骨粗面が、腫れたり、骨が突出してきたりすることがあります。触ると熱感を感じる場合もあります。これは、骨が炎症を起こしているサインです。一方、成長痛の場合は、痛みのある部位に腫れや熱感、変形などの見た目の変化はほとんど見られません。外見上は特に異常がないのに痛みを訴えるのが特徴です。

3.5 お子さんの年齢層の違い

痛みを感じるお子さんの年齢層も、オスグッド病と成長痛で傾向が異なります。

オスグッド病は、主に小学校高学年から中学生(およそ10歳から15歳頃)の、活発にスポーツを行うお子さんに多く見られます。特に、ジャンプやダッシュが多いバスケットボールやサッカー、バレーボールなどのスポーツをしているお子さんに発症しやすい傾向があります。成長痛は、これよりも幼い3歳から10歳頃の幼児期から小学校低学年のお子さんに多く見られるのが特徴です。

4. オスグッド病が疑われる場合の対処法

お子さんがオスグッド病の症状を示している場合、適切な対処を早期に行うことが、痛みの緩和と早期回復につながります。ここでは、ご家庭でできる具体的な対処法について詳しくご紹介します。

4.1 まずは安静が第一

オスグッド病は、膝への過度な負担が原因で炎症が起きる病気です。そのため、痛みが現れている間は、膝への負担を最小限に抑えることが最も重要になります。運動を続けることで、炎症が悪化し、痛みが長引く可能性があります。

お子さんの痛みが強い場合は、一時的にスポーツ活動や激しい運動を中止し、安静に過ごすように促してください。特に、ジャンプやダッシュ、膝を曲げ伸ばしする動作は、膝への負担が大きいため避けるべきです。痛みがあるうちは、無理に運動を続けさせず、十分に休息を取らせてあげることが何よりも大切です。

4.2 痛みを和らげるアイシング

炎症を伴うオスグッド病の痛みには、アイシングが効果的です。アイシングは、患部の血管を収縮させ、血流を抑えることで炎症の広がりを抑え、痛みを和らげる効果が期待できます。

アイシングを行う際は、氷嚢や保冷剤をタオルで包み、痛む部分(膝のお皿の下の出っ張った骨のあたり)に15分から20分程度当ててください。冷やしすぎは凍傷の原因になりますので、タオルなどで包んで直接肌に当てないように注意が必要です。運動後や、痛みが強いと感じる時に行うと効果的です。一日数回、痛みの状態に合わせて繰り返し行うと良いでしょう。

4.3 太ももの筋肉をほぐすストレッチ

太ももの前面にある大腿四頭筋は、オスグッド病の痛みに深く関わっています。この筋肉が硬くなると、膝蓋腱が付着する脛骨粗面への牽引力が強まり、痛みを引き起こしやすくなります。そのため、大腿四頭筋を中心に、太もも全体の筋肉を柔らかく保つことが重要です。

ストレッチは、痛みのない範囲でゆっくりと行い、筋肉が伸びているのを感じながら20秒から30秒程度キープしてください。毎日継続して行うことで、筋肉の柔軟性が高まり、膝への負担を軽減することができます。

ストレッチの種類目的方法のポイント注意点
大腿四頭筋のストレッチ太もも前面の柔軟性向上立った状態で片足の足首を掴み、かかとをお尻に近づけるように膝を曲げます。体をまっすぐに保ち、太ももの前が伸びているのを感じましょう。膝や腰に痛みを感じたらすぐに中止してください。反動をつけず、ゆっくりと伸ばします。
ハムストリングスのストレッチ太もも裏の柔軟性向上床に座り、片足を前に伸ばし、もう片方の足は曲げて足の裏を伸ばした足の内側に当てます。体を前に倒し、伸ばした足のつま先を掴むようにします。背中が丸まらないように意識し、膝を伸ばしたまま行います。
ふくらはぎのストレッチふくらはぎの柔軟性向上壁に手をつき、片足を後ろに大きく引きます。後ろ足のかかとを床につけたまま、前足の膝を曲げて壁に体を近づけます。かかとが浮かないように注意し、アキレス腱とふくらはぎが伸びているのを感じます。

4.4 適切なサポーターの活用

オスグッド病用のサポーターは、膝蓋骨のすぐ下を圧迫することで、膝蓋腱にかかる負担を軽減し、痛みを和らげる効果が期待できます。特に運動時に着用することで、膝への衝撃を吸収し、症状の悪化を防ぐ助けとなります。

サポーターを選ぶ際は、お子さんの膝に合ったサイズを選び、きつすぎず、ゆるすぎないものを選ぶことが重要です。締め付けが強すぎると血行不良の原因になり、ゆるすぎると効果が薄れてしまいます。専門の店舗で相談したり、実際に試着してフィット感を確かめることをおすすめします。ただし、サポーターはあくまで補助的な役割であり、根本的な治療ではないことを理解しておきましょう。

4.5 スポーツ活動との付き合い方

オスグッド病は、スポーツを頑張るお子さんに多く見られるため、スポーツ活動との付き合い方が非常に重要になります。痛みが強い時期は、一時的にスポーツ活動を休止する勇気も必要です。無理をして練習を続けると、症状が悪化し、回復が遅れるだけでなく、将来にわたって影響が残る可能性もあります。

痛みが和らいできたら、徐々に活動量を増やしていくようにしましょう。いきなり元の練習量に戻すのではなく、軽い運動から始め、徐々に強度と時間を上げていく段階的な復帰が大切です。お子さんの体と相談しながら、無理のない範囲で進めてください。もし痛みが改善しない場合や、どのように対応すべきか迷う場合は、身体の専門知識を持つ方にご相談ください。適切なアドバイスを受けることで、お子さんが安心してスポーツに取り組めるようになります。

5. 成長痛が疑われる場合の対処法

成長痛は病気ではないため、特別な治療が必要なわけではありません。しかし、お子さんが痛みでつらい思いをしている時には、適切な対処をしてあげることが大切です。ここでは、ご家庭でできる成長痛への対処法と、専門家への相談の目安について詳しくご説明します。

5.1 お子さんの痛みに寄り添う

成長痛は、お子さんにとってはとてもつらいものです。特に夜間に痛みを訴えることが多いため、不安や恐怖を感じやすい傾向があります。まずは、お子さんの痛みを「気のせい」にせず、しっかりと受け止めてあげることが何よりも大切です。

お子さんが痛みを訴えたら、「つらいね」「痛いね」と共感し、優しく話を聞いてあげてください。精神的な安心感を与えることで、痛みが和らぐことも少なくありません。「大丈夫だよ」「すぐに良くなるよ」といった励ましの言葉も、お子さんの心を落ち着かせ、不安を軽減する助けになります。抱きしめてあげるなど、スキンシップも有効です。

5.2 優しくマッサージや温める

成長痛の痛みを和らげるためには、優しくマッサージしたり、患部を温めたりする方法が有効です。血行を促進し、筋肉の緊張を和らげることで、痛みが軽減されることが期待できます。

  • マッサージ
    痛がっている部位(膝の裏、ふくらはぎ、太ももなど)を、お子さんが心地よいと感じる程度の強さで優しくさすったり、軽く揉んだりしてください。力を入れすぎず、ゆっくりと円を描くようにマッサージすると良いでしょう。お子さんとのコミュニケーションをとりながら、痛みのない範囲で行うことが重要です。
  • 温める
    温かいタオルを絞って患部に当てたり、湯たんぽや使い捨てカイロ(低温やけどに注意し、直接肌に触れないように)を使ったりして温めてください。温かいお風呂にゆっくり浸かることも、全身の血行を促進し、リラックス効果を高めるためにおすすめです。

これらの対処法は、お子さんの痛みを和らげるだけでなく、親子のコミュニケーションを深める良い機会にもなります。お子さんが安心して痛みと向き合えるよう、寄り添ったケアを心がけましょう。

5.3 安静とリラックスを促す

成長痛の場合、基本的には運動を制限する必要はありませんが、痛みが強い時や、お子さんがつらそうにしている時は、無理に動かさず安静にさせてあげることが大切です。体を休ませることで、痛みが和らぐことがあります。

また、お子さんがリラックスできる環境を整えることも重要です。好きな絵本を読んであげたり、静かな音楽を聴かせたり、安心できる場所で過ごさせてあげたりすることで、精神的な緊張がほぐれ、痛みの感じ方が変わることもあります。十分な睡眠も、体の回復には欠かせません。夜間の痛みを訴えることが多い成長痛では、質の良い睡眠を確保できるよう、寝室の環境を整えてあげることも有効です。

5.4 成長痛で病院に行くべきか

成長痛は病気ではないため、多くの場合、ご家庭での対処で十分です。しかし、中には成長痛と似た症状を示す別の病気が隠れている可能性

確認ポイント成長痛の可能性が高い場合専門家への相談を検討すべき場合
痛む場所膝の裏、ふくらはぎ、太ももなど、関節ではない場所関節そのもの(膝関節、股関節など)が痛む
痛むタイミング夕方から夜間にかけて痛むことが多い。朝には痛みが消えている日中も痛みが続く、運動時以外も常に痛い
痛みの強さ・性質痛んだり治まったりを繰り返す。痛みで目が覚めることもあるが、翌日には元気痛みが非常に強く、日常生活に支障が出る。特定の動作で激痛が走る
見た目の変化特に変化はない患部が腫れている、熱を持っている、赤くなっている
その他の症状なし発熱、食欲不振、体重減少、だるさなどの全身症状がある
歩き方・動き痛みがない時は普通に歩ける痛みのために足を引きずる、歩き方がおかしい、特定の動きを嫌がる

上記のような症状が見られる場合は、成長痛ではない別の原因が考えられます。お子さんの状態を詳しく見てくれる専門家に相談し、適切な診断とアドバイスを受けることが大切です。早期に相談することで、お子さんの不安も軽減されるでしょう。

6. オスグッド病と成長痛の予防策

オスグッド病も成長痛も、お子さんの健やかな成長期に現れる可能性のある痛みです。これらの痛みを未然に防ぎ、お子さんが安心してスポーツや日常生活を送れるよう、日頃からの予防策を習慣にすることが大切です。

6.1 適切な運動量と休息の確保

オスグッド病の主な原因の一つに、過度な運動による膝への負担があります。特に成長期のお子さんの骨や筋肉はまだ発達途中のため、無理な運動は身体に大きなストレスを与えてしまいます。お子さんの年齢や体力、成長段階に合わせた適切な運動量を心がけましょう。

スポーツ活動をしているお子さんの場合、練習時間や試合の頻度を見直し、定期的にオフの日を設けることが重要です。練習のない日には、身体を休ませ、心身のリフレッシュを促しましょう。質の良い休息は、疲労回復を助け、筋肉や骨の成長をサポートします。

日々の運動量を記録する運動日記などを活用し、お子さんの身体にかかる負担を客観的に把握することも有効な手段です。痛みを感じる前に、運動量を調整する習慣を身につけましょう。

6.2 運動前のウォーミングアップと運動後のクールダウン

運動を行う前には、必ずウォーミングアップを行い、身体を運動に適した状態に整えることが大切です。ウォーミングアップは、筋肉の温度を上げて血行を促進し、関節の可動域を広げることで、怪我の予防に繋がります。軽いジョギングや動的なストレッチを取り入れ、全身の筋肉をバランス良くほぐしましょう。

運動後には、クールダウンを忘れずに行いましょう。クールダウンは、興奮した身体を落ち着かせ、疲労した筋肉をゆっくりと伸ばすことで、筋肉の柔軟性を保ち、翌日以降の疲労回復を促します。静的なストレッチを中心に、特に太ももやふくらはぎなど、運動で使った部位を重点的にケアしてください。

6.3 バランスの取れた食事と十分な睡眠

お子さんの成長には、バランスの取れた食事が欠かせません。骨や筋肉を作るタンパク質、骨を強くするカルシウムやビタミンDなど、様々な栄養素をバランス良く摂取することが大切です。偏食を避け、多様な食材を取り入れた食事を心がけましょう。特にスポーツをしているお子さんの場合、消費エネルギーも多いため、エネルギー源となる炭水化物も十分に摂る必要があります。

また、十分な睡眠も成長期のお子さんにとって非常に重要です。睡眠中には成長ホルモンが分泌され、身体の修復や成長が活発に行われます。疲労回復のためにも、お子さんの年齢に合わせた適切な睡眠時間を確保し、質の良い睡眠が取れるよう、寝室の環境を整えたり、就寝前のデジタルデバイスの使用を控えさせたりする工夫をしましょう。

6.4 身体の柔軟性を保つストレッチの習慣化

オスグッド病の予防には、特に太ももの前面にある大腿四頭筋の柔軟性を保つことが重要です。大腿四頭筋が硬いと、膝蓋腱を介して脛骨粗面への牽引力が強くなり、負担が増加する可能性があります。

日頃からストレッチを習慣化し、身体全体の柔軟性を高めることが、怪我の予防に繋がります。お風呂上がりや寝る前など、筋肉が温まっている時にストレッチを行うと効果的です。お子さんが無理なく続けられるよう、保護者の方が一緒に取り組むのも良いでしょう。

柔軟性を高めることで、関節の可動域が広がり、運動時の身体への負担を軽減することができます。

6.5 正しいフォームでの運動指導

スポーツ活動における不適切なフォームや身体の使い方は、特定の部位に過度な負担をかけ、怪我や痛みの原因となることがあります。例えば、ジャンプの着地やランニングの際に膝に大きな衝撃がかかるフォームは、オスグッド病のリスクを高める可能性があります。

お子さんがスポーツを行う際には、そのスポーツに適した正しい身体の使い方やフォームを習得することが非常に重要です。指導者や専門家から適切な指導を受け、お子さんの身体の成長や発達に合わせて、フォームを定期的に見直す機会を設けましょう。

正しいフォームで運動することで、身体への負担を分散させ、効率的にパフォーマンスを発揮できるようになります。これは、オスグッド病だけでなく、他のスポーツ障害の予防にも繋がります。

7. まとめ

オスグッド病と成長痛は、お子さんの膝の痛みとして似ていますが、原因や症状、対処法が異なります。オスグッド病は運動による負担が主な原因で、痛む場所やタイミングに特徴が見られます。一方、成長痛は原因が不明で、夜間に痛むことが多いです。お子さんの痛みの種類を見極め、それぞれに合った適切な対処を行うことが、健やかな成長のために重要です。安静やアイシング、ストレッチ、心のケアなど、できることから始めていきましょう。もし判断に迷ったり、痛みが続くようでしたら、何かお困りごとがありましたら当院へお問い合わせください。

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